― 98回目の麻婆豆腐の会、幹事として選んだ一軒 ―

「語呂会4000」(別称:「麻婆豆腐の会」)というものが存在する。
気づけば98回目を数えるその集まりで、今回私が幹事を務めることになった。候補はいくつかあったが、迷わずこの店を選んだ。
先日ランチで一度訪れており、その完成度を知っていたからだ。

お茶の水の「眞実一路」。ドラマ『孤独のグルメ』で取り上げられた麻婆豆腐の名店で、移転後も話題が絶えない一軒だ。

🥢 前菜の時点で、すでに酒が進む

5,500円の飲み放題コース(2.5時間)でのスタート。
最初に運ばれてきたのは、豆腐干の和え物、ザーサイ、うずら卵のチャイニーズオードブル盛り合わせ。

続いてよだれ鶏。最初の一皿から本格中華の気概が伝わってくる。

サラダはシャキシャキで、点心の春巻きは皮が黄金色にパリッと揚がり、断面に具がぎっしり詰まっていた。

本来は麻婆豆腐が主役のはずが、前菜の時点ですでに手元のグラスが空きかけていた。良い店の前菜は、いつもこうなる。

🔴 主役登場――五味一体麻婆豆腐(赤)

そして主役の登場だ。

「五味一体麻婆豆腐」——赤。山椒がバシッと効いた正統派の一椀が、グツグツと音を立てて運ばれてくる。豆腐を抱き込んでくるような力強さで、口に入れた瞬間に麻辣の波が押し寄せる。白ご飯との相性は言うまでもない。

これが「孤独のグルメ」で取り上げられた一杯か、と一人で納得しながら箸を動かした。

⚪ コースに白まで含まれていた衝撃

赤を食べ終えたところで、「実は白もコースに入っています」と言われた。

白は青唐辛子ベース。見た目は穏やかだが、口に入れると相当な辛さだ。見た目と味の落差が面白く、赤とは明確に異なる個性を持っている。
5,500円の飲み放題コースにこれが含まれているという事実に、あまりのコスパの良さで少し笑ってしまった。

🟢 緑を追加注文、3種制覇へ

ここまで来たら行くしかない。緑の麻婆豆腐を追加注文した。

緑は爽やかな香りと痺れる辛さが共存する異色の一杯だ。青々とした香りが立ち上り、その直後に舌にじわりと痺れが広がる。赤の力強さ、白の鮮烈な辛さ、緑の複雑な香り——3種それぞれが明確に異なる個性を持っており、どれも「同じ麻婆豆腐」とは思えない。

気づけば3種制覇だった。

🏺 空間そのものが、香料の世界

この店の印象的な点は、料理だけではない。

壁に並ぶスパイスの瓶。「Fascinating World of Spices」と書かれた手書きの看板。空間全体が香料の世界に没入させる仕掛けになっており、料理と空間が一体になっている。弁護士として「文脈をつくる」仕事をしている身には、この設計の精度が気持ちよく伝わってくる。

締めに出てきた正式杏仁豆腐は、麻辣の余韻を優しく包み込んでくれる完璧なフィナーレだった。ここまで手を抜かない店は、そう多くない。

📈 良い店は、繁盛してほしい

コース料理の完成度、麻婆豆腐の個性と深み、空間の世界観。すべてが水準以上だった。
こういう店には、ぜひ繁盛してほしいと思う。ただし、予約が取れる範囲で——というのが本音だ。

次に来る機会を楽しみにしたい。

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