神楽坂で見つけた、「寸分の狂いもない完成度」

神楽坂 芝蘭の料理は、まさに“寸分の狂いもない完成度”と表現するのが最も適切でしょう。 優秀な料理とは、見た目の美しさ、香りの刺激、そして味の構成が、寸分の狂いもなく設計されている状態を指します。この店は、そのレベルを優に超えてきます。
今回は、予約が必須とされる名物の火鍋を主軸に据えつつも、火鍋だけではない、料理の「論理構造」の完成度の高さをご紹介します。

🥢 前菜から始まる「緻密な構成」

まずは、前菜の盛り合わせ。 人数分、一切れずつ用意してくれるという配慮は、取り分けという煩雑な「手続き」を省略する点で実に合理的であり、好感が持てます。
写真で4人分ですが、どの品も上品な味わいです。

🌶よだれ鶏 ― 香り立つ余韻

「よだれ鶏」は、その店の格を示す前菜だと私は考えますが、芝蘭のものは秀逸でした。
しっとりとした鶏肉と香草の構成が絶妙なバランスを築き、程よい辛みが、食欲という名の「論理」を突き動かします。
思わずお代わりを検討するほど、繊細なバランスの妙がありました。

🍤 小海老のXO醤 ― “濃い”のに品がある

そして、侮るなかれ、この「小海老のXO醤」です。

単に濃厚という言葉では足りません。海老のプリッとした食感に、XO醤が持つ旨味の重層構造が絡みつき、口の中で深遠な満足感をもたらします。
私の個人的な評価としては、この日のベストアクト。

この深遠な旨味があれば、延々と焼酎を飲み続けるという行為に、何の論理的な破綻も生じません。延々とお酒を飲み続けられるだけの「アテとしての説得力」を持っている。実は、これが一番お気に入りの味だったりします。

🥬 春菊炒め ― 苦味の美学

バランスを整えるべく、葉物もいただきます。今回は「春菊炒め」をチョイスしました。

春菊といえば、すき焼きに入れるくらいで、独特のえぐみが敬遠されがちですが、ここの春菊は、そのえぐみがなく、苦みもほど良く、見事に「大人の味わい」へと昇華されています。
えぐみを抑え込み、苦みを旨味に変える技術。
料理人の技が光ります。

🧊 麻婆豆腐 ― 山椒は別皿で

芝蘭は「麻婆豆腐」も有名です。
「都内の美味しい麻婆豆腐」の特集では、常連と言っても良いでしょう。
とても食べやすく、山椒が別盛りで出てくるのがポイントが高いです。
これにより、食べ手が「辛味の程度」という最終判断を委ねられる。
しかし、量は少なめなので、がっつり食べたい人には物足りないかもしれません。

🍲 火鍋 ― 対極と調和の「最終審判」

そして、今回の目的である火鍋です。

予約しないと食べられない火鍋は、その豪華さもさることながら、肉(鶏、豚、牛、ラム、ハチノス)、海鮮、野菜、キノコ類という多種多様な食材の取り合わせが目を引きます。

これらの食材を、麻辣と白湯という対極にあるスープで火を通していただきます。火鍋とは、食材の「本質」をどこまで引き出すかという試みであり、そして、その後の「調和」にどう帰結させるかという論理構造そのものです。

特に秀逸なのがタレの存在です。この日は胡麻だれと、黒酢だれ。 麻辣スープも、そこまで激辛という感じではないですが、黒酢だれを纏わせた食材を口に運ぶと、麻辣の重厚さと、黒酢の鋭い酸味が、口内で絶妙なバランスを築きます。

まるで、複雑な事案に「適切な判決」を下した時のような、重厚かつすっきりとした、静かな満足感がありました。
旨すぎます。紹興酒がすすみすぎますね。

🍶 料理の「構造」が導く満足感

どの料理も美味しい、神楽坂 芝蘭。

単なる美味しさではなく、料理の持つ「構造の完成度」と「バランスの論理」が、食べる者に深い満足感を与えてくれます。 お腹いっぱい食べたいときは、この予約必須の火鍋を。
絶対におすすめですよ!

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