🏮 しつらえとスタイル:肩肘張らない本気のカウンター

吉祥寺駅から少し歩いた先、静かな路地に灯るお店。
今夜お邪魔したのは、「鮨 富かわ」をよりカジュアルに楽しめる2号店、「鮨ト酒肴 富かわ」です。

カウンターでいただくのは、《ドリンクインクルーシブ》のおまかせ鮨コース 20品(13,900円)。
日本酒も含めて、2時間たっぷり鮨と酒肴の遊園地を楽しめる構成でした。

若い大将がテンポよく手を動かしながらも、こちらの表情をちらりと見て、
「お酒どうしましょう?」「次、少し軽めののんでみます?」
と、さりげない距離感で会話を挟んでくれます。

本格鮨なんだけど、どこか酒場の気楽さも同居している。
まさに「鮨ト酒肴」という店名そのままの空気でした。

🍲 スタートは温度の一皿から

茶碗蒸し(ポルチーニ × サーモン)

最初の一品は、少し意外な顔ぶれ。
ポルチーニ茸とサーモンの茶碗蒸し。

ポルチーニの香りがふわっと立ち上がり、
サーモンの旨味がじんわりと全体に溶け込んでいます。
和食の茶碗蒸しというより、「キノコのポタージュ」と「茶碗蒸し」のあいだを行き来するような一椀。

🐟 冬のスターターたち

白子ポン酢

続いて登場したのは、
エメラルドグリーンの器にふわりと盛られた白子ポン酢

クリーミーでコクがありつつ、
ポン酢は尖りすぎず、丸い酸味。
白子の“ミルク感”をきちんと残したまま、後味はすっと引いていきます。

あん肝パン(オレンジの香り)

思わず「おっ」と声が出たのがあん肝パン。
小さなトーストの上に、厚めにカットされたあん肝。
そこにほんのりオレンジを効かせていて、あん肝の濃厚さに柑橘の香りがふわっと重なります。

フォアグラのテリーヌをいただいているようで、ワインでも日本酒でも合ってしまう、危険な一口でした。

🍶 日本酒いろいろ:インクルーシブの愉しみ方

ドリンクインクルーシブの強みは、「少しずつ、いろいろ試せる」こと。

🐉 九尾 純米大吟醸

するりと入るのに、後から甘く香りが立ち上がる一本。

🍶 樽生のにごり酒 SEPPiKOSAN(セッピコサン)

サーバーから注がれる、シュワっと軽いにごり。前菜にぴったり。

写楽 純米酒

きれいな旨味で、鮨との相性抜群。

❄️ 加賀鳶 極寒純米 辛口

きりっとした辛口で、燻製や天ぷらと好相性。

と、スタイルの違う日本酒を少しずつ楽しませてもらいました。
日本酒好きにはたまらないシステムです。

🍣 握りの序章:アオリイカと炙りカマス

アオリイカ

シャリの上に、薄く細かな包丁を入れたアオリイカ。
噛むほどに甘さが広がり、シャリの酸味と塩気が、その甘さをそっと押し上げてくれます。

「イカってこんなに甘かったっけ?」と、毎回初心に戻らされる、一貫目にふさわしい握り。

カマスの炙り

続いて出てきたのはカマスの炙り。
軽く炙った皮目の香ばしさと、中のしっとりした身のコントラストが見事です。

棒寿司のようにくるりと巻いた形で、「これ、カマスだったよね?」と思わず聞き返したくなるような存在感。
炙りの香りに、思わず日本酒が進みました。

🔥 赤身の世界:マグロ三景とロッシーニ手巻き

マグロ(腹と背、二枚重ね)

最初のマグロは、腹と背を二枚重ねにした贅沢な一貫。
ふたつの部位の食感と脂の乗り方が、一口の中でゆっくりほどけていきます。

赤身漬け

次はきりっとした赤身漬け。
ねっとりとした旨味が、
先ほどの二枚重ねとのコントラストを際立たせてくれます。

マグロ×フォアグラ「ロッシーニ」手巻き

そして今夜のハイライトのひとつが、
マグロとフォアグラを重ねた「ロッシーニ」スタイルの手巻き。

炙ったマグロの上にフォアグラ、その上に金箔とトリュフ。
これを海苔で巻いて、一口で頬張ります。

「めちゃくちゃ美味い」という言葉しか出てこない、危険な手巻き。
寿司屋さんでまさかロッシーニに出会うとは…という驚きも含めて、記憶に残る一品でした。

🍄 “これは本当に椎茸?”と思わせる仕事

椎茸の細巻き

見た目はシンプルな椎茸巻き。
ところが一口食べると、「え、これ本当に椎茸?」というくらい旨味の層が深い。

甘辛いタレだけに頼らず、椎茸そのものの香りと食感をきちんと残していて、まるで肉厚な魚を食べているような満足感がありました。

🥢 遊び心全開:シャリスケッタと鰹、もずく

シャリスケッタ(鰹 × もずく)

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ワイングラスの上に紙を敷き、その上にカリっと焼いたシャリ、さらに鰹のたたきをどさっと。
下のグラスの中には、味のしみたもずくが入っています。

まずは上の「シャリスケッタ」を前菜のように。
そのあと、グラスのもずくをすすれば、口の中で鰹と酢の物が一体に。

見た目も味も、いい意味で寿司屋の常識からはみ出した一品でした。🐟 焼き物の一皿:太刀魚とクロバイガイ

赤い皿に美しく盛られた、
太刀魚の焼き物、クロバイガイ、銀杏、蕪。

太刀魚は皮目パリッと、中はふっくら。
貝の旨味と銀杏のほろ苦さが、
皿全体を“酒肴の一枚絵”に仕上げていました。

❄️ 白身と光り物:松川カレイ・鯵

松川カレイ(松皮造りの握り)

「カレイを握りで出すお店って、そう多くないよな」と思いながらいただいた
松川カレイの松皮造り握り。

皮目に細かな切り込みを入れて、さっと湯霜にしてあるので、ぷりっとした弾力と、上品な脂の甘さが際立ちます。
これは白身好きにはたまらない一貫でした。

おなじみの鯵も、もちろん抜かりなし。
軽い〆具合に、薬味がきりっと決まり、「旨し」と素直にうなずくバランス。
光り物の仕事を見ると、そのお店の本気度が伝わってきます。

🍤 海老天手巻き:今までで一番かもしれない一本

大ぶりの海老をサクッと揚げて、そのまま海苔で巻いた海老の天ぷら手巻き。

衣は軽く、海老はぷりぷり。
たれがじゅわっと染みて、「今まで食べた海老の中で、一番美味いかもしれない」と思った一本でした。
シンプルゆえに、腕がごまかせない天ぷら手巻き。
これはぜひまた食べたい。

🥚 まだまだ続く幸せタイム

さわら燻製

うっすらと薫香をまとわせたさわらの握り。
燻製の香りが強すぎず、さわら本来の甘さをきちんと残しているのが印象的でした。

ウナタマ巻き

香ばしい鰻とふわっとした玉子焼きを、パリッと焼いた海苔で巻いたウナタマ巻き。
食感のコントラストが楽しくて、思わず笑顔になってしまう一口です。

煮ホタテ

ほんのり甘いタレをまとった煮ホタテは、やわらかく、それでいてちゃんと“貝の噛み心地”を残した仕上がり。

いなり

食欲が止まらない追加の二皿

コースの握りはここまで。
大将から、今日は、良いマグロと雲丹がありますよ。との一言。
追加オーダーの促し。
しかし、酒が入り、実物迄見せてもらったら、それは追加オーダーをせざるを得ないのです。

雲丹+キャビアの握り

雲丹をたっぷりと載せ、その上にキャビア。
口に入れた瞬間の、海のミルク感と塩味のバランスが絶妙で、
シャリがふわっと溶けていきます。

トロたく+ごぼうの手巻き

トロとたくあんに、カリっとしたごぼうを合わせたトロ宅手巻き
脂と甘み、香ばしさ、ポリポリした食感。
ここでもやっぱり海苔の香りとパリっと感が素晴らしく、

コース終盤なのに、箸ならぬ指が止まりません。

中に酢飯、上に胡麻のあられを散らしたいなり寿司。
甘さ控えめのお揚げに、カリっとしたあられが良いアクセントになっていました。


☕ 締めの一杯:黒×朱の器で出てきたものは…

黒と朱の器で供された、赤出汁。

コースの最後に、
海の香りで静かにクールダウンさせてくれる、
とても印象的な締めでした。
ここまで遊び心たっぷりの構成だっただけに、
最後をきちんと和の椀で結ぶあたりに、
大将のバランス感覚を感じます。


🌌 「鮨ト酒肴 富かわ」は、鮨と遊び心の交差点だった

一通り食べ終えて感じたのは、確かな職人の腕がありながらも、遊び心がある鮨屋ということ。

ネタの質や仕事の丁寧さはもちろんですが、
そこにポルチーニやフォアグラ、燻製、シャリスケッタなど、
自由な発想を乗せてくる。
でも決して“やりすぎ”にはならず、
ちゃんと鮨の世界の延長線としてまとまっているのがすごいところです。

飲み放題は、カウンターのみで提供しているようですが、コスパ抜群です。
追加オーダーをすると、若干、コスパは落ちてしまいますが、それだけのお金を払う価値はありますし、
飲みすぎたので、若干のチップと思えば安いものです。

吉祥寺で、肩肘張らずに、でもちゃんと本気の鮨と日本酒を楽しみたい夜。

「鮨ト酒肴 富かわ」、再訪したい店ができました。

トラログ4.19

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